第22回研究報告会ご案内
2024年12月16日
第22回研究報告会ご案内
金融プラス・フォーラム事務局
金融プラス・フォーラム「第22回研究報告会ご案内」を送付させていただきました。今回はソラミツ株式会社宮沢和正代表取締役社長をお招きし、「ブロックチェーンによる社会課題解決への取り組み」と題して報告していただきます。
講師の宮沢社長はソニー時代に電子マネーの草分けとなるEdyに携わった開発者として知られていますが、近年ではカンボジア中央銀行のデジタル通貨「バコン」システムの開発やパラオの国債発行システム受注などでソラミツ株式会社とともに脚光を浴びています。バコンはソラミツが持つ最先端のブロックチェーン技術「ハイパーレジャーいろは」から生まれたデジタル技術です。ソラミツ株式会社は2016年2月創業のスタートアップ企業で、その年の10月にリナックス(Linux Foundation)のブロックチェーン・プラットフォーム「ハイパーレジャー」にIBM、インテルと共に、自社開発の「いろは」をもって加わりました。宮沢社長がソニー、楽天を経て2017年1月に移籍した年の4月にはカンボジア中銀と共同開発契約に調印、2020年10月にバコンの稼働が開始されています。開発の経緯と詳細については、著書『ソラミツ:世界初の中銀デジタル通貨「バコン」を実現したスタートアップ』(2020年)を読んでいただきたいと思います。また、ソニーの非接触型ICカード技術FeliCaが国際標準化に失敗し、国際標準規格ISO-14443に入ることができず海外展開を果たせなかったこと、国内でもICカード型電子マネーの乱立となった経緯などは前著『かくして電子マネー革命はソニーから楽天に引き継がれた』に詳しく、日本のフィンテック史を自ら歩んできたともいえます。
今回の研究報告では、前段で日本のフィンテック史ともいえる自ら歩んできた研究開発史を語っていただき、その後に本題のブロックチェーンによる様々な取り組みについて報告していただく予定です。特に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入については、その技術はもとよりその活用による生活への影響等にも触れられるものと期待されます。
宮沢社長から送られてきた報告概要は以下の通りです。なお、今回もリアルとオンライン(zoom)の同時開催となります。是非ご参加ください。
<報告概要>
ブロックチェーンは世界中で技術開発が進行し、ファイナンスやサプライチェーンなどの業界では続々と採用されており、金融包摂、クロスボーダー取引、循環型社会、脱炭素社会の推進など社会課題の解決に貢献しております。当社は2020年に、世界に先駆けてカンボジアにて中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入に成功しました。その後、日本では東レ様のトレーサビリティ・システムの実証実験をはじめ、自治体のデジタル地域通貨として採用され、海外ではラオス、ソロモン諸島、パプアニューギニアなどでCBDCの実証実験を実施し、パラオでは貯蓄国債のシステム開発を行っています。当社が元々開発したブロックチェーン技術は、オープンソースの業界標準となり、日本を含む様々な国で活用されています。
本講演ではデジタル通貨やブロックチェーン技術の最前線を説明し、なぜ日本発の技術が世界で活用されるようになったのか、どのようにデジタル通貨やブロックチェーンは進化してきたのか、中央銀行デジタル通貨や民間デジタル通貨は今までの金融システムやキャッシュレス決済手段とどう異なるのか、デジタル通貨やデジタルID、サプライチェーンなどへの活用により社会や生活はどう変わってゆくのか、どのように社会課題を解決してゆくのかを議論したいと思います。
記
1 テーマ:「ブロックチェーンによる社会課題解決への取り組み」
2 講師:宮沢和正(ソラミツ株式会社代表取締役社長)
1980年 東京工業大学大学院卒、ソニー入社。VOD企画室長、ソニーUSAダイレクター、パーソナルファイナンス企画部長、ICカード総合企画部長など経て、2001年 電子マネーEdyの事業会社を創立、常務最高戦略責任者を経て、2010年 楽天Edy株式会社 執行役員、理事などを歴任。2008年 金融庁金融審議会委員を務め資金決済法の立法に従事。2017年 ソラミツ最高執行責任者(COO)を経て、現職は同社代表取締役社長、東海東京フィナンシャル・ホールディングス取締役、東京科学大学 経営システム工学 講師、ISO/TC-307 ブロックチェーン国際標準化日本代表委員を兼任。著書に『ソラミツ:世界初の中銀デジタル通貨「バコン」を実現したスタートアップ』(日経BP 2020年)、『かくして電子マネー革命はソニーから楽天に引き継がれた』(インフキュリオン2018年)などがある。また、『経済セミナー』特集:「中央銀行デジタル通貨は金融をどう変える?」2024.2・3では、論文「アジア・太平洋地域における中央銀行デジタル通貨の展開」の他、植田健一(東大教授)ら4氏によるディスカッション「アジアの動向と日本の針路」にも参加している。
3 日時:2025年1月25日(土)16時30分~18時
報告(16:30-17:45)の後、質疑応答を予定しています。
4 開催会場:東洋大学白山キャンパス、5102教室(5号館1階102教室)及びオンライン(zoom) 住所:東京都文京区白山5-28-20(HP参照)、TEL.03-3945-7224
アクセス:都営三田線白山駅A3出口から正門/南門5分。東京メトロ南北線「本駒込」駅1番出口から「正門・南門」徒歩5分
(注)5号館は「南門」から入ると最も高いシンボルタワー(2号館)の先のビルである。
会費:無料
5 懇親会:18時15分~20時15分
懇親会場:「パイプライン ニューヨーク」(TEL.03-3818-7811)
文京区白山1-33-8朝日白山マンション 2F
都営地下鉄三田線【白山駅】徒歩2分、東京メトロ南北線【本駒込駅】徒歩7分
会費:4千円
6 主催者
金融プラス・フォーラム(会長:唐木宏一)
7 連絡先
野澤:ZZZt-nozawakag「アットマーク」jcom.zaq.ne.jpZZZ、TEL.090-3318-4815
宮下:ZZZk-miyashita「アットマーク」yu-cho-f.jpZZZ (Zを削除し、「アットマーク」を@へ変更してください:迷惑メール防止になります。)
8 過去の研究報告
<2017年>
第1回(12月):井上智洋(駒澤大学准教授)『人工知能は未来の経済をどう変えるか?』
<2018年>
第2回(3月):瀧俊雄(マネーフォワード取締役Fintech研究所長)『フィンテックのインパクト』、第3回(7月):宮村健一郎(東洋大学経営学研究科研究科長)『 アメリカ銀行業のP2Pレンディング戦略』、第4回(9月):駒井隼人(株式会社Delta Valuesチーフデータサイエンティスト)『ビッグデータから見た個人投資家行動』、第5回(12月):中村淳一郎 (株式会社IICパートナーズ代表取締役社長)『企業年金・退職金のエッセンスと企業経営に活かす視点』
<2019年>
第6回(3月):畔上秀人(東洋学園大学現代経営学部教授)『リスク評価の世代間継承-生命保険について-』、江口政宏(商工総合研究所主任研究員)『ブロックチェーンは次世代プラットフォームとなりうるか』、冨田洋介(共栄大学国際経営学部専任講師)『金融市場と経済格差に影響を及ぼす法的環境の実効性について-制定法と慣習法の相違を中心に-』、第7回(7月):牧野知弘(オラガ総研株式会社 代表取締役 / 不動産事業プロデューサー)『不動産価値革命と住宅―人生100年時代を迎えて―』、第8回(9月):武田泰弘(TRENDE株式会社テクノロジーディレクター)『電力流通とP2P電力システム』、第9回(12月)濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構研究所長)『人生100年時代の雇用と労働』
<2020年>
第10回(12月):駒井隼人(一橋大学経営管理研究科博士後期課程、株式会社Delta Values)・小谷野良太(株式会社Delta Values)『個人投資家は何を基準に投資の意思決定をしているか? ―株価からの一考察』
<2021年>
第11回(3月):野崎浩成(東洋大学国際学部教授)『地銀と持続可能性』、第12回(7月):森健(株式会社野村総合研究所未来創発センター・グローバル産業・経営研究室長)『コロナ禍が加速させるデジタル資本主義』、第13回(12月):清水洋(早稲田大学商学学術院教授)『流動性とイノベーション:国、企業、個人はどのように立ち向かうのか』
<2022年>
第14回(3月):鈴木隆雄(桜美林大学大学院教授、国立長寿医療研究センター理事長特任補佐)『日本の高齢者は若返っているか:科学的根拠に基づく高齢者の健康増進に関する戦略』、第15回(10月):近藤一仁(岡山商科大学客員教授)『IR(インベスター・リレーションズ)の過去・現在・未来について~変わらない IR の本質を説き、真の企業価値の向上と評価改善を提言する~』、第16回(12月):猪俣哲史(ジェトロ・アジア経済研究所 海外研究員)『グローバル・バリューチェーンから見た米中デカップリング』
<2023年>
第17回(3月):掛下達郎(福岡大学商学部教授/公益財団法人日本証券経済研究所客員研究員)『GAFAの銀行化・金融機関化:金融化との関連で』、第18回(10月):冨田洋介(東洋学園大学現代経営学部准教授)『潜在的な経済的不平等と政府の再分配に影響を及ぼす法の起源』、第19回(12月):遠藤正之(静岡大学情報学部教授)『金融DXの動向、銀行は生き残れるのか』
<2024年>
第20回(3月):勝池和夫(タタ・アセットマネジメント アドバイザー)『インド経済の可能性とあなたの金融資産の未来』、第21回(10月):中里透(上智大学経済学部准教授)『東京は「ブラックホール」なのか:少子化と東京一極集中について考える』
(注)第10回(2020年12月)から第17回(2023年3月)はオンライン開催、第20回(2024年3月)以降はリアル、オンラインの同時開催である。
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